耕種農業職種の技能実習生を受け入れるためには?
耕種農業職種の技能実習生を受け入れるためのブログ記事です。日本では労働者不足が懸念されていますが、一方、ベトナムでは人口が年々増えています。
ベトナムの農林水産業のGDPに占める割合は2019年時点で14%であり、工業化が進むベトナムにおいても農林水産業の重要性は変わっていません。
日本の進んだ技術をベトナム農業に取り入れることは、ベトナムの農業関係者も注目しています。
当記事はこちらの方におすすめです。🇯🇵🇻🇳
- 作業者が足りなくて困っている
- 外国人の作業者を活用したいがよく分からないし心配
- ベトナム人の作業者を受け入れたいと思っている
本記事ではベトナム人を耕種農業職種の技能実習生として受け入れる場合、どんなことを知っておくべきかを解説します。
受け入れ人数の枠
技能実習生の受け入れ人数枠には企業規模に応じて制限があります。
なお、育成就労制度においても受け入れ人数に枠が設定される方向です。
※JITCO「外国人技能実習制度とは」
常勤職員には、技能実習生、特定技能1号の外国人は含まれないことに注意しましょう。
受入企業に関する要件
受入企業となるには次の要件を満たすことが必要となります。
- 受け入れ体制を構築している
- 営農証明書の交付を受けている
- 報酬、待遇などが適切
- 書類管理体制がある
- 技能実習生の宿舎を確保する
1.受け入れ体制を構築している
技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員を選任し配置することによって、技能実習生の受け入れ体制を構築することが必要です。
技能実習責任者
技能実習の各担当職員の監督および、実習生の受け入れ準備や実習進捗の統括管理をします。
常勤であること、また、3年に1度、技能実習責任者に対する講習を受講しなければいけません。
技能実習指導員
技能実習生に技能実習を指導する担当者となります。常勤職員で、技能実習を行う事業所に所属し、修得等をさせようとする技能、技術及び知識について5年以上の経験が必要です。
生活指導員
生活指導員は、技能実習生の生活上の留意点について指導し、また技能実習生の相談にのる役割となります。監理団体と情報を共有しながら、未然に問題を防ぎます。常勤であることが必要条件となります。
2.営農証明書の交付を受けている
営農証明書は、所有権・貸借権等の権利に基づいて耕作している農地面積等について、農家世帯毎に証明するものです。
各市町村の農業委員会から交付を受けることになります。
3.報酬、待遇などが適切
技能実習生に対する報酬が日本人が従事する場合と同等額以上であることが必要です。
社会保険加入などの対応も必須となります。
4.書類管理体制がある
技能実習日誌を作成し備え付け、技能実習終了後1年以上保存しなければなりません。
5.技能実習生の宿舎を確保する
技能実習生を受け入れる企業は、実習生が住むための住居を用意しなければいけません。加えて、生活するための最低限の什器や家電を用意することも必要です。
宿舎の費用を技能実習生から徴収することになると思いますが、ベトナム人の実習生である場合は徴収できる上限額が定められています。
基本給/月の15%を超えてはならないとされています。
※JITCO「ベトナム・新労働者海外派遣法及び関連政省令等の概要」
耕種農業職種の技能実習生に関する要件
技能実習生自身に関わる要件は下記のとおりです。
- 18歳以上であること
- ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局(DOLAB)の推薦を受けていること
- 帰国後に日本で修得した技能等を活用できる業務に就く予定があること
- 日本で受ける技能実習と同種の業務に従事した経験等を有すること
- 送り出し機関等から保証金や違約金などを徴収されないこと
技能実習制度では上記の要件を技能実習生が満たすことを求められています。
年齢が18歳以上であるかどうかの基準となる日は、技能実習(入国後講習を含む。)の開始日が基準となります。
帰国後に習得した技能等を活用することが望ましいですが、母国での景気や求人状況が影響するため、絶対的な要件とはなっていません。
同種業務に従事した経験等については書類によって証明することとなります。
※育成就労制度においては、「日本で受ける技能実習と同種の業務に従事した経験等を有すること」は、要件としてなくす方向で進められています。
技能実習生が保証金や違約金を徴収されることがないかどうかは、受入企業のみでは把握しかねるため、監理団体を通じてよく確認しておきましょう。
耕種農業職種の業務に関する要件
大まかに述べると下記2点が業務に係る要件となっています。
- 母国で修得することが困難である技能等を修得するものであること
- 習得しようとする技能等が単純作業や非熟練作業でないこと
技能実習生が従事できる業務内容は、必須業務・関連業務・周辺業務の3つに分けられています。
そして、技能実習生に従事させる労働時間全体の2分の1以上を必須業務にあてる必要があります。関連業務は時間全体の2分の1以下、周辺業務は時間全体の3分の1以下としなければなりません。
次に耕種農業職種の技能実習においては、どのような業務が3種類の業務に該当するのかを確認してみましょう。
(※技能実習3号については割愛します。なお、育成就労制度では技能実習3号に該当するものはなくなります。育成就労が3年間終わった後は、特定技能へ移行するか帰国することになります。)
必須業務
職種の作業には、「施設園芸」と「畑作・野菜」と「畑作・野菜」の3種類があり、必須業務内容がそれぞれ異なっています。(安全衛生業務の内容は同じです。)
○技能実習1号(受け入れ1年目)
□施設園芸作業
(1)施設園芸作業
・土壌等づくり作業(土壌、培地、養液のいずれか)
・土壌等づくり(判別含む)作業
・施肥作業(肥料、栄養材のいずれか)
・施肥(肥料の区別含む)作業
・環境管理作業
・環境管理(温度管理含む)作業
・資材・装置の取扱い作業
・資材及び装置の初歩的な取扱い作業
・栽培作業(土壌、菌床、養液のいずれか)
・葉数・節間又は菌傘・菌柄の長さ測定作業
・初歩的な育苗方法の判別作業
・収穫作業
(2)安全衛生業務
・雇入れ時等の安全衛生教育
・作業開始前の安全装置等の点検作業
・耕種農業職種に必要な整理整頓、清潔清掃作業
・耕種農業職種の作業用機械及び周囲の安全確認作業
・保護具等の着用と服装の安全点検作業
・安全装置の使用等による安全作業
・労働衛生上の有害性を防止するための作業
・異常時の応急措置を修得するための作業
□畑作・野菜作業
(1)畑作・野菜作業
・土壌づくり作業
・土壌づくり(判別含む)作業
・施肥作業
・施肥(肥料の判別含む)作業
・種子取扱い作業
・種子の判別作業
・栽培作業
・苗の定植又は播(は)種作業
・収穫作業
(2)安全衛生業務
※内容は「施設園芸作業」と同じ
□果樹作業
・土壌づくり作業
・施肥作業
・施肥(肥料の区別含む)作業
・種子・苗木の取扱い作業
・種子の取扱い(区別含む)作業
・苗木の取扱い(区別含む)作業
・栽培作業(落葉果樹、常緑果樹のいずれか)
・摘果作業(落葉果樹、常緑果樹)
・人工受粉・袋かけ・誘引・収穫等作業(落葉果樹)
・収穫作業(常緑果樹)
(2)安全衛生業務
※内容は「施設園芸作業」と同じ
○技能実習2号(受け入れ2年目・3年目)
□施設園芸作業
(1)施設園芸作業
・土壌等づくり作業(土壌、培地、養液のいずれか)
・土壌等づくり(判別含む)作業
・施肥作業(肥料、栄養材のいずれか)
・施肥(肥料の区別含む)作業
・環境管理作業
・環境管理(温度管理含む)作業
・資材・装置の取扱い作業
・資材及び装置の初歩的な取扱い作業
・栽培作業(土壌、菌床、養液のいずれか)
・葉数・節間又は菌傘・菌柄の長さ測定作業
・初歩的な育苗方法の判別作業
・収穫作業
(2)安全衛生業務
※技能実習1号(1年目)と同じ内容
□畑作・野菜作業
(1)畑作・野菜作業
・土壌づくり作業
・土壌づくり(判別含む)作業
・施肥作業
・施肥(肥料の判別含む)作業
・種子取扱い作業
・種子の判別作業
・栽培作業
・苗の定植又は播(は)種作業
・収穫作業
(2)安全衛生業務
※技能実習1号(1年目)と同じ内容
□果樹作業
・土壌づくり作業
・施肥作業
・施肥(肥料の区別含む)作業
・種子・苗木の取扱い作業
・種子の取扱い(区別含む)作業
・苗木の取扱い(区別含む)作業
・栽培作業(落葉果樹、常緑果樹のいずれか)
・摘果作業(落葉果樹、常緑果樹)
・人工受粉・袋かけ・誘引・収穫等作業(落葉果樹)
・収穫作業(常緑果樹)
(2)安全衛生業務
※技能実習1号(1年目)と同じ内容
関連業務
- 畑作・野菜作業、施設園芸作業、果樹作業(※必須業務の作業を除く)
- 稲作作業
- 病害虫・雑草防除・樹園地管理作業
- 飼肥料作物栽培作業
- 農産物を原材料として使用する製造・加工の作業
周辺業務
- 作物の運搬作業
- 梱包・出荷作業
- 果樹用設備の保守・点検作業
- 農機具及び農業機械の保守・点検作業
※厚生労働省「技能実習計画審査基準」
なお、外国人インターンシップ生の受け入れは、上記業務内容の条件を揃えていなくても受け入れが可能です。
また、受け入れコストについても技能実習生を受け入れるのに比べて半分以下にできます。もちろん、外国人インターンならではの難しい部分もありますが、耕種農業職種の業務内容に縛られない&コスト削減を達成するには、外国人インターンを活用することをおすすめいたします。 (農作業の繁忙期に絞ってインターンを受け入れることも可能です。)
まとめ:耕種農業職種の技能実習生
技能実習生を受け入れるイメージは持っていただけたでしょうか?
日本の高い農業生産技術を学ぶことはベトナム人の技術向上につながり、ベトナムの農業の効率化や経済発展に良い影響を与えることでしょう。
また、貴社がベトナム進出を検討されているのであれば、ぜひ進出計画を視野に入れたベトナム人の受け入れについてお声がけしていただければと思っております。
技能実習修了後、あるいは育成就労の終了後には、特定技能「農業」への移行も考えられます。特定技能2号も認められていることから、有望なベトナム人に働き続けてもらえる制度も整っています。
ベトナム人材について何かご質問があれば、ぜひお気軽にお問い合わせフォームよりご連絡