当協会は2025年5月に設立予定です。お問い合わせにつきましては、2024年11月から受付をしております。お気軽にお声がけください。

養殖業職種の技能実習生を受け入れるためには?

養殖業職種の技能実習生を受け入れるためには?

養殖業職種の技能実習生を受け入れるためのブログ記事です。日本では労働者不足が懸念されていますが、一方、ベトナムでは人口が年々増えています。ベトナムの農林水産業のGDPに占める割合は2019年時点で14%であり、工業化が進むベトナムにおいても農林水産業の重要性は変わっていません。

日本の進んだ技術をベトナムの養殖業に取り入れることは、ベトナムの水産関係者も注目しています。

当記事はこちらの方におすすめです。🇯🇵🇻🇳 

  • 作業者が足りなくて困っている
  • 外国人の作業者を活用したいがよく分からないし心配
  • ベトナム人の作業者を受け入れたいと思っている
  • 将来的にベテランの職人が不足しそう

本記事は団体監理型で畜産農業職種のベトナム人技能実習生を受け入れるための情報をお届けします。 

目次

受け入れ人数の枠

技能実習生の受け入れ人数枠には企業規模に応じて制限があります。

なお、育成就労制度においても受け入れ人数に枠が設定される方向です。

養殖職種の技能実習生の場合の団体監理型の技能実習生の受け入れ人数枠

※JITCO「外国人技能実習制度とは

常勤職員には、技能実習生、特定技能1号の外国人は含まれないことに注意しましょう。

受入企業に関する要件

受入企業となるには次の要件を満たすことが必要となります。

  1. 受け入れ体制を構築している
  2. 報酬、待遇などが適切
  3. 書類管理体制がある
  4. 技能実習生の宿舎を確保する

1.受け入れ体制を構築している

技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員を選任し配置することによって、技能実習生の受け入れ体制を構築することが必要です。

技能実習責任者

技能実習の各担当職員の監督および、実習生の受け入れ準備や実習進捗の統括管理をします。

常勤であること、また、3年に1度、技能実習責任者に対する講習を受講しなければいけません。

技能実習指導員

技能実習生に技能実習を指導する担当者となります。常勤職員で、技能実習を行う事業所に所属し、修得等をさせようとする技能、技術及び知識について5年以上の経験が必要です。

生活指導員

生活指導員は、技能実習生の生活上の留意点について指導し、また技能実習生の相談にのる役割となります。監理団体と情報を共有しながら、未然に問題を防ぎます。常勤であることが必要条件となります。

2.報酬、待遇などが適切

技能実習生に対する報酬が日本人が従事する場合と同等額以上であることが必要です。

社会保険加入などの対応も必須となります。

3.書類管理体制がある

技能実習日誌を作成し備え付け、技能実習終了後1年以上保存しなければなりません。

4.技能実習生の宿舎を確保する

技能実習生を受け入れる企業は、実習生が住むための住居を用意しなければいけません。加えて、生活するための最低限の什器や家電を用意することも必要です。

宿舎の費用を技能実習生から徴収することになると思いますが、ベトナム人の実習生である場合は徴収できる上限額が定められています。

基本給/月の15%を超えてはならないとされています。

※JITCO「ベトナム・新労働者海外派遣法及び関連政省令等の概要

養殖業職種の技能実習生に関する要件

技能実習生自身に関わる要件は下記のとおりです。

  • 18歳以上であること
  • ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局(DOLAB)の推薦を受けていること
  • 帰国後に日本で修得した技能等を活用できる業務に就く予定があること
  • 日本で受ける技能実習と同種の業務に従事した経験等を有すること
  • 送り出し機関等から保証金や違約金などを徴収されないこと

技能実習制度では上記の要件を技能実習生が満たすことを求められています。

年齢が18歳以上であるかどうかの基準となる日は、技能実習(入国後講習を含む。)の開始日が基準となります。

帰国後に習得した技能等を活用することが望ましいですが、母国での景気や求人状況が影響するため、絶対的な要件とはなっていません。

同種業務に従事した経験等については書類によって証明することとなります。

※育成就労制度においては、「日本で受ける技能実習と同種の業務に従事した経験等を有すること」は、要件としてなくす方向で進められています。

技能実習生が保証金や違約金を徴収されることがないかどうかは、受入企業のみでは把握しかねるため、監理団体を通じてよく確認しておきましょう。

​​養殖業職種の業務に関する要件

大まかに述べると下記2点が業務に係る要件となっています。

  • 母国で修得することが困難である技能等を修得するものであること
  • 習得しようとする技能等が単純作業や非熟練作業でないこと

技能実習生が従事できる業務内容は、必須業務・関連業務・周辺業務の3つに分けられています。

そして、技能実習生に従事させる労働時間全体の2分の1以上を必須業務にあてる必要があります。関連業務は時間全体の2分の1以下周辺業務は時間全体の3分の1以下としなければなりません。

次に養殖業職種の技能実習においては、どのような業務が3種類の業務に該当するのかを確認してみましょう。

(※技能実習3号については割愛します。なお、育成就労制度では技能実習3号に該当するものはなくなります。育成就労が3年間終わった後は、特定技能へ移行するか帰国することになります。)

必須業務

職種の作業には、「ほたてがい養殖作業」と「まがき養殖作業」の2種類があり、必須業務内容がそれぞれ異なっています。(安全衛生業務の内容は同じです。)

以下では「ほたてがい養殖作業」を説明します。

○技能実習1号(受け入れ1年目)

(1)ほたてがい養殖作業

・ほたてがいの取扱い作業

 1. 成貝の規格選別作業

 2. 器官の判別作業

 3. 成貝の異常貝選別作業

・漁具の製作・補修作業

 1. 採苗器の作製作業

 2. パールネットの補修作業

・漁具の整理・整頓作業

 1.丸篭(まるかご)やパールネットを揃えて吊篭(つりかご)綱で結束する作業

・安全作業

 1. 安全装具の装着作業

 2.安全装具の収納作業

(2)安全衛生業務

 1 雇入れ時等の安全衛生教育

 2 作業開始前の安全装置等の点検作業

 3 養殖業職種に必要な整理整頓作業

 4 養殖業職種の作業用機械及び周囲の安全確認作業

 5 保護具(救命胴衣、安全帽、安全ベルト、命綱、安全靴、作業用救命衣等)の着用と服装の安全点検作業

 6 安全装置の使用等による安全作業

 7 労働衛生上の有害性を防止するための作業

 8 異常時の応急措置を修得するための作業

○技能実習2号(受け入れ2年目)

(1)ほたてがい養殖作業

・ほたてがいの取扱い作業

 1. 成貝の規格選別作業

 2. 器官の判別作業

 ​​3. 半成貝の異常貝選別作業

 4. 洗浄(殻付き)作業

 5. 飼育密度調整(半成貝仮分散)作業

・漁具の製作・補修作業

 1. 採苗器の作製作業

 2. パールネットの補修作業

・漁具の整理・整頓作業

 1.丸篭(まるかご)やパールネットを揃えて吊篭(つりかご)綱で結束する作業

・安全作業

 1. 安全装具の装着作業

 2.安全装具の収納作業

(2)安全衛生業務

 ※内容は「技能実習1号」と同じ

○技能実習2号(受け入れ3年目)

(1)ほたてがい養殖作業

・ほたてがいの取扱い作業

 1. 成貝の規格選別作業

 2. 器官の判別作業

 ​​3. 稚貝・半成貝の異常貝選別作業

 4. 洗浄(殻付き)作業

 5. 飼育密度調整(稚貝・半成貝仮分散)作業

・漁具の製作・補修作業

 1. 採苗器の作製作業

 2. 丸篭(まるかご)、パールネットの補修作業

 3. 高度な漁具製作・補修作業

・漁具の整理・整頓作業

 1.丸篭(まるかご)やパールネットを揃えて吊篭(つりかご)綱で結束する作業

・安全作業

 1. 安全装具の装着作業

 2.安全装具の収納作業

(2)安全衛生業務

 ※内容は「技能実習1号」と同じ

関連業務

  • 養殖管理作業
  • 害敵駆除作業
  • 付着生物駆除作業
  • 育苗養殖作業
  • 水温・水質管理作業
  • 養殖用機械、設備、器工具等の清掃作業
  • 養殖用機械、設備、器工具等の管理・保守作業
  • 海上作業(採苗器稚貝付着状況・半成貝生育状況調査等)
  • 食品衛生上の管理(貝毒)、流通の管理作業
  • 出荷前品質保持作業
  • 漁場環境整備作業
  • 同一養殖業者におけるまがき養殖作業(ただし、ほたてがい養殖作業と重複する作業は除く。)

周辺業務

  • 自家取得した原材料を使用した製造・加工作業(専従者がいる場合は該当しない。) 
  • 貝類の構内運搬作業
  • 梱包・出荷作業
  • ほたてがいの剥き身作業

※厚生労働省「技能実習計画審査基準

なお、外国人インターンシップ生の受け入れは、上記業務内容の条件を揃えていなくても受け入れが可能です。

また、受け入れコストについても技能実習生を受け入れるのに比べて半分以下にできます。もちろん、外国人インターンならではの難しい部分もありますが、養殖職種の業務内容に縛られない&コスト削減を達成するには、外国人インターンを活用することをおすすめいたします。 

まとめ:養殖業職種の技能実習生

養殖の風景画像

技能実習生を受け入れるイメージは持っていただけたでしょうか?

日本の高い養殖技術を学ぶことはベトナム人の技術向上につながり、ベトナムの水産業の効率化や経済発展に良い影響を与えることでしょう。

また、貴社がベトナム進出を検討されているのであれば、ぜひ進出計画を視野に入れたベトナム人の受け入れについてお声がけしていただければと思っております。

 技能実習修了後、あるいは育成就労の終了後には、特定技能「漁業」への移行も考えられます。特定技能2号も認められていることから、有望なベトナム人に働き続けてもらえる制度も整っています。 

ベトナム人材について何かご質問があれば、ぜひお気軽にお問い合わせフォームよりご連絡いただければと思います。

シェアしていただけますと励みになります!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

日本の製造現場(メッキ・熱処理)の責任者としてエンジニア・技能実習生の管理をしました。その後、ベトナムに単身渡り、現地送り出し機関で顧客対応・開拓に従事していました。
日本帰国後は、越境産学連携や人材活用のコンサルティングをしています。「ベトナムウェブ通信」にてブログ発信しながら、ベトナム人のインターン及びエンジニア等の活用支援を行っています。

目次