自動車整備士の技能実習生を受け入れるためには?
自動車整備士の技能実習生を受け入れるためのブログ記事です。日本では自動車整備士数の不足が懸念されていますが、一方、ベトナムでは自動車整備士を目指す若者が年々増えています。これはベトナムのモータリゼーションが進んでおり、自動車に対する憧れが起因していると言えます。
本記事では、自動車整備職種でベトナム人技能実習生を受け入れるための情報をお届けします。(団体監理型で受け入れるケース)
当記事はこちらの方におすすめです。🇯🇵🇻🇳
- 自動車整備士が足りなくて困っている
- 外国人の自動車整備士を活用したいがよく分からないし心配
- ベトナム人の自動車整備士を受け入れたいと思っている
今回はベトナム人の自動車整備士を技能実習生として受け入れる場合、どんなことを知っておくべきかを説明します。
受け入れ人数の枠
技能実習生の受け入れ人数枠には企業規模に応じて制限があります。
なお、育成就労制度においても受け入れ人数に枠が設定される方向です。
※JITCO「外国人技能実習制度とは」
常勤職員には、技能実習生、特定技能1号の外国人は含まれないことに注意しましょう。
受入企業に関する要件
受入企業となるには次の要件を満たすことが必要となります。
- 受け入れ体制を構築している
- 認証工場の事業所で技能実習生を受け入れる
- 報酬、待遇などが適切
- 書類管理体制がある
- 技能実習生の宿舎を確保する
1.受け入れ体制を構築している
技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員を選任し配置することによって、技能実習生の受け入れ体制を構築することが必要です。
技能実習責任者
技能実習の各担当職員の監督および、実習生の受け入れ準備や実習進捗の統括管理をします。
常勤であること、また、3年に1度、技能実習責任者に対する講習を受講しなければいけません。
技能実習指導員
技能実習生に技能実習を指導する担当者となります。常勤職員で、技能実習を行う事業所に所属し、修得等をさせようとする技能、技術及び知識について5年以上の経験が必要です。
①第1、2号技能実習(入国後1年目と2年目の実習生)の技能実習指導員は、技能実習法に規定する要件に該当するほか、次のいずれかに該当する者であること
・一級又は二級の自動車整備士の技能検定に合格した者
・三級の自動車整備士の技能検定に合格した日から自動車整備作業に関し3年以上の実務の経験を有する者
②第3号技能実習の技能実習指導員は、技能実習法に規定する要件に該当するほか、次のいずれかに該当する者であること
・一級の自動車整備士の技能検定に合格した者
・二級の自動車整備士の技能検定に合格した日から自動車整備作業に関し3年以上の実務の経験を有する者
生活指導員
生活指導員は、技能実習生の生活上の留意点について指導し、また技能実習生の相談にのる役割となります。監理団体と情報を共有しながら、未然に問題を防ぎます。常勤であることが必要条件となります。
2.認証工場の事業所で技能実習生を受け入れる
自動車整備作業を行う場合、道路運送車両法(昭和26年6月1日法律第185号)第78条に基づき、地方運輸局長から認証を受けた自動車分解整備事業場(対象とする装置の種類が限定されていないこと)における作業でなければならないと定められています。(もちろん指定工場はOKです。)
なお、対象とする自動車の種類が二輪自動車のみの自動車分解整備事業場は除くものとされています。
特定技能を受け入れるのも同様に認証工場である事業所でなければいけません。このため、育成就労制度になっても認証工場でなければ受け入れることはできないでしょう。
なお、外国人インターンシップ生の受け入れは、認証工場でなくても可能であることは注目すべきところと言えます。(ガソリンスタンドがメインの事業所でも受け入れOKとなります。)
3.報酬、待遇などが適切
技能実習生に対する報酬が日本人が従事する場合と同等額以上であることが必要です。
社会保険加入などの対応も必須となります。
4.書類管理体制がある
技能実習日誌を作成し備え付け、技能実習終了後1年以上保存しなければなりません。
5.技能実習生の宿舎を確保する
技能実習生を受け入れる企業は、実習生が住むための住居を用意しなければいけません。加えて、生活するための最低限の什器や家電を用意することも必要です。
宿舎の費用を技能実習生から徴収することになると思いますが、ベトナム人の実習生である場合は徴収できる上限額が定められています。
基本給/月の15%を超えてはならないとされています。
※JITCO「ベトナム・新労働者海外派遣法及び関連政省令等の概要」
自動車整備職種の技能実習生に関する要件
技能実習生自身に関わる要件は下記のとおりです。
- 18歳以上であること
- ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局(DOLAB)の推薦を受けていること
- 帰国後に日本で修得した技能等を活用できる業務に就く予定があること
- 日本で受ける技能実習と同種の業務に従事した経験等を有すること
- 送り出し機関等から保証金や違約金などを徴収されないこと
- 国土交通大臣が指定する教材を使用して、自動車整備作業に関する基礎的な知識を習得させる講習を受けること
技能実習制度では上記の要件を技能実習生が満たすことを求められています。
年齢が18歳以上であるかどうかの基準となる日は、技能実習(入国後講習を含む。)の開始日が基準となります。
帰国後に習得した技能等を活用することが望ましいですが、母国での景気や求人状況が影響するため、絶対的な要件とはなっていません。
同種業務に従事した経験等については書類によって証明することとなります。
※育成就労制度においては、「日本で受ける技能実習と同種の業務に従事した経験等を有すること」は、要件としてなくす方向で進められています。
技能実習生が保証金や違約金を徴収されることがないかどうかは、受入企業のみでは把握しかねるため、監理団体を通じてよく確認しておきましょう。
自動車整備職種の技能実習生に特有のものですが、入国前か入国後に自動車整備作業に関する教育を受けておく必要があります。自動車整備は専門的であり、運転者の命に直接関わる仕事内容であるため、実習開始前までにしっかりした教育が必要となります。
したがって、配属前にどのような教育を監理団体や送り出し機関が行なっているかを確認しておきましょう。
自動車整備職種の業務に関する要件
大まかに述べると下記2点が業務に係る要件となっています。
- 母国で修得することが困難である技能等を修得するものであること
- 習得しようとする技能等が単純作業や非熟練作業でないこと
技能実習生が従事できる業務内容は、必須業務・関連業務・周辺業務の3つに分けられています。
そして、技能実習生に従事させる労働時間全体の2分の1以上を必須業務にあてる必要があります。関連業務は時間全体の2分の1以下、周辺業務は時間全体の3分の1以下としなければなりません。
次に自動車整備職種の技能実習においては、どのような業務が3種類の業務に該当するのかを確認してみましょう。
(※技能実習3号については割愛します。なお、育成就労制度では技能実習3号に該当するものはなくなります。育成就労が3年間終わった後は、特定技能へ移行するか帰国することになります。)
必須業務
○技能実習1号(受け入れ1年目)
(1)自動車整備作業
・自動車点検整備作業:各装置の車検、定期点検項目の良否判定及びそれに基づく整備の補助作業
1.ステアリング装置
2.ブレーキ装置
3.走行装置
4.サスペンション装置
5.動力伝達装置
6.電気装置
7.エンジン装置
8.排出ガス発散防止装置
9.附属装置
(2)安全衛生業務
○技能実習2号(受け入れ2年目・3年目)
(1)自動車整備作業
・自動車点検整備作業:各装置の車検、定期点検項目の良否判定及びそれに基づく整備の補助作業
1.ステアリング装置
2.ブレーキ装置
3.走行装置
4.サスペンション装置
5.動力伝達装置
6.電気装置
7.エンジン装置
8.排出ガス発散防止装置
9.附属装置
・自動車分解整備作業:各装置の分解整備、各種テスター・測定 機器類による各装置の複雑な良否判定及びそれに基づく整備作業
1.ステアリング装置
2.ブレーキ装置
3.走行装置
4.サスペンション装置
5.動力伝達装置
6.電気装置
7.エンジン装置
8.排出ガス発散防止装置
9.附属装置
(2)安全衛生業務
関連業務
1.部品番号検索・部内発注作業
2.車枠車体の整備調整作業
3.ナビ・ETC等の電装品の取付作業
4.自動車板金塗装作業
周辺業務
1.洗車作業
2.下廻り塗装作業
3.車内清掃作業
4.構内清掃作業
5.部品等運搬作業
6.設備機器等清掃作業
※厚生労働省「技能実習計画審査基準」
また、受け入れコストについても技能実習生を受け入れるのに比べて半分以下にできます。もちろん、外国人インターンならではの難しい部分もありますが、自動車整備の業務内容に縛られない&コスト削減を達成するには、外国人インターンを活用することをおすすめいたします。
まとめ:自動車整備士の技能実習生
ベトナム人を自動車整備職種の技能実習生として受け入れるイメージは持っていただけたでしょうか?
自動車整備士は日本の車検制度を支え、私たちが安全に自動車を運行するためにはなくてはならない職業の1つです。
自動車を運転したりカスタマイズすることに興味を持つ若者は日本では減りましたが、これとは対照的にベトナムでは年々増加傾向にあります。
今のベトナムの自動車を取り巻く環境は、1960年代の日本のような熱気を纏っていると感じます。かつて、多くの日本人の若い男性が自動車を所有して運転することに憧れていたように、現代の多くのベトナムの若い男性も同様です。
ベトナムには自動車に興味を持つ多くの若者がいます。今後の日本の人手不足の状況を考慮し、ベトナムの若者を日本の自動車整備士として受け入れてみてはいかがでしょうか?
技能実習修了後、あるいは育成就労の終了後には、特定技能への移行も考えられます。特定技能2号も認められていることから、有望なベトナム人に働き続けてもらう制度も整っています。
当協会では、特定技能、技能実習、エンジニア、インターン、ベトナム現地の教育機関との提携など、様々な形で人材に対する課題解決をおこないます。
ベトナム人材について何かご質問があれば、ぜひお気軽にお問い合わせフォームよりご連絡いただければと思います。