在留資格「特定活動」とは?|特定活動告示9号インターンシップについて
在留資格の1つである「特定活動」についてはご存知でしょうか?「特定技能」と名前は似ていますが、まったく別の制度です。
慣れていないと間違えやすい在留資格ですね。今回はこの在留資格「特定活動」について解説し、特に特定活動告示9号の外国人インターンシップに関してご紹介します。
この「特定活動」で外国人インターンを受け入れることもできます。
単に労働力確保のためだけにインターン生を受け入れることはできない反面、受け入れる際に職種などは問われないことが特徴的です。一方、技能実習生や特定技能を受け入れる場合は、受け入れることができる職種や産業分野が定められています。
また、外国人インターンシップ生はどんな職種でも受け入れることができ、受け入れコストも技能実習生のものに比べて格段に低いという利点もあります。
当記事はこちらの方におすすめです 🇯🇵🇻🇳
- 在留資格の「特定活動」について知りたい
- 外国人インターンシップの受け入れを検討している
まずはじめに在留資格の1つである「特定活動」は、就労資格がある在留資格の「技術・人文知識・国際業務」や「技能実習」、「特定技能」等と違い、
法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動
をするための在留資格となっています。
令和5年6月末の時点で、68,171人の外国人の方々が「特定活動」で在留しています。
コロナ禍で帰国できなかった外国人が特定活動の在留資格に切り替えて滞在を延長していた背景があるため、令和4年末の人数(83,380人)よりも減少しています。
在留資格「特定活動」の種類
「特に指定する活動」の種類は様々ありますが、大きく分けると次の3つになります。
- 出入国管理及び難民認定法に定められている特定活動
- 告示特定活動
- 告示外特定活動
上記3つの特定活動について見ていきます。
出入国管理及び難民認定法に定められている特定活動
研究者で特定の研究分野にたずさわったり、自然科学や人文科学の情報処理活動に携わったりする外国人が対象となっています。
また、研究者等の家族も対象となっています。
告示特定活動
この種類の特定活動は、あらかじめ法務大臣が告示しており、下記の46種類が定められています。
- 外交官・領事館の家事使用人
- 在留資格が「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」の家事使用人
- 高度専門職の家事使用人
- 投資運用業等に従事する高度専門職外国人に雇用される家事使用人
- 特別高度人材に雇用される家事使用人
- 台湾日本協会の在日事務所の職員とその家族
- 駐日パレスチナ総代表部の職員とその家族
- ワーキングホリデー
- アマチュアスポーツ選手
- アマチュアスポーツ選手の配偶者と子供
- 外国人弁護士
- 外国の大学生でインターンシップを行う者
- イギリス人ボランティアで福祉関連のボランティアに携わる者
- 外国の大学生でサマージョブを行う者
- 外国の大学生で国際文化交流についての講義を行う者
- インドネシア人看護師研修生
- インドネシア人介護福祉士研修生
- インドネシア人看護師研究生の配偶者と子
- インドネシア人介護福祉士研修生の配偶者と子
- フィリピン人看護師研修生
- フィリピン人介護福祉士研修生(就労あり)
- フィリピン人介護福祉士研修生(就労なし)
- フィリピン人看護師研修生の配偶者と子
- フィリピン人介護福祉研修生(21号)の配偶者と子
- 日本で治療・入院などの医療行為を受けるため長期的に滞在する者
- 日本で医療行為を受ける者の同伴者
- ベトナム人看護師研修生
- ベトナム人介護福祉士研修生(就労あり)
- ベトナム人介護福祉士研修生(就労なし)
- ベトナム人看護師研修生の配偶者と子
- ベトナム人介護福祉士研修生(28号)の配偶者と子
- 外国人建設就労者
- 在留資格「高度専門職」の配偶者(外国人)の就労
- 在留資格「高度専門職」本人、もしくは配偶者(外国人)の親
- 外国人造船就労者
- 特定分野の研究者・教育者、もしくは研究・教育に関連する経営者(36号)
- 自然科学分野・人文科学分野に関する情報処理業務を行う者(37号)
- 36号・37号の外国人の配偶者と子
- 36号・37号の外国人、またはその配偶者(外国人)の親
- 富裕層の外国人で観光・保養のために1年以内で日本に滞在する者(40号)
- 40号の外国人の配偶者
- 外国人製造業従事者
- 日系四世
- 外国人起業家
- 外国人起業家の配偶者と子
- 四年制の大学または大学院を卒業した外国人で、日本語能力検定「N1」の資格を持つ者(46号)
- 46号の外国人の配偶者と子
- スキーインストラクター
- 未来創造人材外国人
- 未来創造人材外国人の配偶者等
※出入国管理及び難民認定法別表第一の五の表の下欄に掲げる活動
この内、「外国の大学生でインターンシップを行う者」について説明します。
「外国の大学生でインターンシップを行う者」は、「特定活動 告示9号」とも呼ばれています。
法務大臣が告示で定めていて、その告示の9号にあたるのが「外国の大学生でインターンシップを行う者」というところが名前の由来です。
外国の大学生でインターンシップを行う者(特定活動告示9号)
海外の大学や短大では、インターン生として企業で実習することを卒業要件とされているのが一般的です。
このため卒業前の外国人学生たちは、インターン先を探して3ヶ月以上インターンをしています。
このインターンを外国人学生たちが自国でやるのではなく、日本でするための在留資格として、特定活動告示9号が定められているのです。
外国の教育機関が海外でのインターンを学生に奨励する目的は、学生時の外国での仕事や生活の経験は貴重であり、その後の学生の人生を豊かにするだけでなく、国際的な人材が増えることでの自国の発展にも寄与することが期待されています。
海外でのインターンを学生がしているという実績が、外国の教育機関の格を上げる側面もあります。
また東南アジアの国の中には、日本のように企業数が多くないために、インターンを受け入れる枠が十分でないという背景もあります。
外国人インターンについての詳細は別のブログで紹介しますが、外国人インターンを受け入れるためには、以下の要件があります。
- 外国人インターンとなる者が学生である
- 当該外国人が18歳以上である
- インターン学生が大学・短大で専攻している分野と受入先企業の業務内容に関連性がある
- 受入企業と外国の教育機関が連携協定を締結しており、インターン生が内容を理解している
- 外国の教育機関の教育課程としてインターンが位置付けられており、単位認定の対象となっている
- 受入企業とインターン学生の契約内容について、インターン学生が理解している
- インターン生を他企業に派遣しない
- 期間は最長1年間
外国人学生をインターンとして受け入れるためには、上記の要件を満たす必要がありますが、外国人インターンを受け入れることで企業が活性化したり、受け入れた人材が後の海外進出の足がかりになったりすることもあり、今後の注目が予想されている在留資格です。
なお、無償のインターンを受け入れる場合は「特定活動」は該当せず、別の在留資格となります。
在留期間が90日以内の場合は、在留資格「短期滞在」となり、
在留期間が90日以上の場合は、在留資格「文化活動」となります。
告示外特定活動
告示外特定活動には主に3つのパターンがあります。
- 就職活動を継続するための特定活動
- 出国準備のための特定活動
- 日本在留外国人の親を呼び寄せるための特定活動
就職活動を継続するための特定活動
留学生が学校を卒業した後に日本で就職活動を続ける場合に利用される特定活動です。
在留期間は6ヶ月で1回の更新ができるため、最長で1年間は就職活動を日本ですることができます。
内定をもらったものの、入社までに3ヶ月以上も期間がある時も、待機のための特定活動で在留を続けます。
出国準備のための特定活動
在留資格の変更許可や期間更新の申請を出したけれども不許可となってしまった場合に出国準備のための特定活動をとることになります。
期間は1ヶ月となり、この間に帰国をすることになります。
日本在留外国人の親を呼び寄せるための特定活動
高齢の親を呼び寄せて扶養する時が該当します。
主に人道上の理由で許可されますが、明確な基準は開示されていません。
まとめ
今回は在留資格の「特定活動」について紹介いたしましたが、いかがだったでしょうか?
外国人インターンを受け入れる場合には、この「特定活動」で在留することになることも知っていただけたと思います。
こちらの在留資格であれば、外国人としては卒業単位のために日本企業で実習をしながら日本の生活体験ができ、さらには収入を得ることもできて、日本語の勉強もできてしまうのです。
「特定活動」の在留資格の活用次第で日本企業と外国人の就職マッチング精度を向上させることができるので、ぜひご興味を持っていただければ!と思っています。
また、「特定活動」は社会情勢に応じて柔軟に運用される面もあり、現在ではミャンマーのクーデターによる国内不安があるため、緊急避難措置としてミャンマー人の方々が引き続き日本に在留できるように「特定活動」を認められています。
今後も様々なケースで「特定活動」が適用されることになると予想されます。
ベトナム人材について何かご質問があれば、ぜひお気軽にお問い合わせフォームよりご連絡いただければと思います。
★参考
出入国管理及び難民認定法
(入国審査官の審査)
第七条
入国審査官は、前条第二項の申請があつたときは、当該外国人が次の各号(第二十六条第一項の規定により再入国の許可を受けている者又は第六十一条の二の十二第一項の規定により交付を受けた難民旅行証明書を所持している者については、第一号及び第四号)に掲げる上陸のための条件に適合しているかどうかを審査しなければならない。
一 (略)
二 申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のものでなく、別表第一の下欄に掲げる活動(二の表の高度専門職の項の下欄第二号に掲げる活動を除き、五の表の下欄に掲げる活動については、法務大臣があらかじめ告示をもつて定める活動に限る。)又は別表第二の下欄に掲げる身分若しくは地位(永住者の項の下欄に掲げる地位を除き、定住者の項の下欄に掲げる地位については、法務大臣があらかじめ告示をもつて定めるものに限る。)を有する者としての活動のいずれかに該当し、かつ、別表第一の二の表及び四の表の下欄に掲げる活動を行おうとする者については我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合すること(別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号に掲げる活動を行おうとする外国人については、一号特定技能外国人支援計画が第二条の五第六項及び第七項の規定に適合するものであることを含む。)。
別表第一の二
別表第一の五