溶接職種の技能実習生を受け入れるためには?
溶接職種の技能実習生を受け入れるためのブログ記事です。日本では労働者不足が懸念されていますが、一方、ベトナムでは人口が年々増えています。ベトナムの工業の発展と共に商業も発展し、ベトナムにおいてもベテランの溶接工は高い給料を得ることができます。このため、日本の優れた溶接技術を身につけるために日本へ行きたいベトナム人も多いです。
本記事では、溶接職種でベトナム人技能実習生を受け入れるための情報をお届けします。(団体監理型で受け入れるケース)
当記事はこちらの方におすすめです。🇯🇵🇻🇳
- 溶接作業員が足りなくて困っている
- 外国人の溶接作業員を活用したいがよく分からないし心配
- ベトナム人の溶接作業員を受け入れたいと思っている
- 将来的に溶接のプロフェッショナル人材が不足しそう
今回はベトナム人の溶接作業員を技能実習生として受け入れる場合、どんなことを知っておくべきかを解説します。
受け入れ人数の枠
技能実習生の受け入れ人数枠には企業規模に応じて制限があります。
なお、育成就労制度においても受け入れ人数に枠が設定される方向です。
※JITCO「外国人技能実習制度とは」
常勤職員には、技能実習生、特定技能1号の外国人は含まれないことに注意しましょう。
受入企業に関する要件
受入企業となるには次の要件を満たすことが必要となります。
- 受け入れ体制を構築している
- 報酬、待遇などが適切
- 書類管理体制がある
- 技能実習生の宿舎を確保する
1.受け入れ体制を構築している
技能実習責任者・技能実習指導員・生活指導員を選任し配置することによって、技能実習生の受け入れ体制を構築することが必要です。
技能実習責任者
技能実習の各担当職員の監督および、実習生の受け入れ準備や実習進捗の統括管理をします。
常勤であること、また、3年に1度、技能実習責任者に対する講習を受講しなければいけません。
技能実習指導員
技能実習生に技能実習を指導する担当者となります。常勤職員で、技能実習を行う事業所に所属し、修得等をさせようとする技能、技術及び知識について5年以上の経験が必要です。
生活指導員
生活指導員は、技能実習生の生活上の留意点について指導し、また技能実習生の相談にのる役割となります。監理団体と情報を共有しながら、未然に問題を防ぎます。常勤であることが必要条件となります。
2.報酬、待遇などが適切
技能実習生に対する報酬が日本人が従事する場合と同等額以上であることが必要です。
社会保険加入などの対応も必須となります。
3.書類管理体制がある
技能実習日誌を作成し備え付け、技能実習終了後1年以上保存しなければなりません。
4.技能実習生の宿舎を確保する
技能実習生を受け入れる企業は、実習生が住むための住居を用意しなければいけません。加えて、生活するための最低限の什器や家電を用意することも必要です。
宿舎の費用を技能実習生から徴収することになると思いますが、ベトナム人の実習生である場合は徴収できる上限額が定められています。
基本給/月の15%を超えてはならないとされています。
※JITCO「ベトナム・新労働者海外派遣法及び関連政省令等の概要」
溶接職種の技能実習生に関する要件
技能実習生自身に関わる要件は下記のとおりです。
- 18歳以上であること
- ベトナム労働・傷病兵・社会問題省海外労働管理局(DOLAB)の推薦を受けていること
- 帰国後に日本で修得した技能等を活用できる業務に就く予定があること
- 日本で受ける技能実習と同種の業務に従事した経験等を有すること
- 送り出し機関等から保証金や違約金などを徴収されないこと
技能実習制度では上記の要件を技能実習生が満たすことを求められています。
年齢が18歳以上であるかどうかの基準となる日は、技能実習(入国後講習を含む。)の開始日が基準となります。
帰国後に習得した技能等を活用することが望ましいですが、母国での景気や求人状況が影響するため、絶対的な要件とはなっていません。
同種業務に従事した経験等については書類によって証明することとなります。
※育成就労制度においては、「日本で受ける技能実習と同種の業務に従事した経験等を有すること」は、要件としてなくす方向で進められています。
技能実習生が保証金や違約金を徴収されることがないかどうかは、受入企業のみでは把握しかねるため、監理団体を通じてよく確認しておきましょう。
溶接職種の業務に関する要件
大まかに述べると下記2点が業務に係る要件となっています。
- 母国で修得することが困難である技能等を修得するものであること
- 習得しようとする技能等が単純作業や非熟練作業でないこと
技能実習生が従事できる業務内容は、必須業務・関連業務・周辺業務の3つに分けられています。
そして、技能実習生に従事させる労働時間全体の2分の1以上を必須業務にあてる必要があります。関連業務は時間全体の2分の1以下、周辺業務は時間全体の3分の1以下としなければなりません。
次に溶接職種の技能実習においては、どのような業務が3種類の業務に該当するのかを確認してみましょう。
(※技能実習3号については割愛します。なお、育成就労制度では技能実習3号に該当するものはなくなります。育成就労が3年間終わった後は、特定技能へ移行するか帰国することになります。)
必須業務
○技能実習1号(受け入れ1年目)
溶接作業には、「手溶接」と「半自動溶接」の2種類があり、必須業務内容がそれぞれ異なっています。(「手溶接」と「半自動溶接」の安全衛生業務の内容は同じです。)
(1)溶接作業
□手溶接
・アーク溶接機及び付属機器の取扱い作業
・被溶接材の開先加工、調整、タック溶接(仮付け溶接)作業
・鋼材の下向姿勢での溶接作業
□半自動溶接
・半自動アーク溶接機及び付属機器の取扱い作業
・被溶接材の開先加工、調整、タック溶接(仮付け溶接)作業
・鋼材の下向姿勢での溶接作業
(2)安全衛生業務
・雇入れ時等の安全衛生教育
・作業開始前の安全装置等の点検作業
・溶接職種に必要な整理整頓作業
・溶接職種の作業用機械及び周囲の安全確認作業
・保護具の着用と服装の安全点検作業
・安全装置の使用等による安全作業
・労働衛生上の有害性を防止するための作業
・異常時の応急措置を修得するための作業
・溶接作業に関係する特別教育 (技能実習1号の実務開始前に行うこと)
特別教育に係る学科及び実技教育の内容
i)学科の科目
・アーク溶接等に関する知識(1時間)
・アーク溶接装置に関する基礎知識(3時間)
・アーク溶接等の作業の方法に関する知識(6時間)
・関係法令(1時間)
ii)実技教育の内容
・アーク溶接装置の取扱い及びアーク溶接等の作業の方法(10時間以上)
・危険又は有害な業務(溶接作業を除く)に関係する特別教育
○技能実習2号(受け入れ2年目・3年目)
□手溶接
・アーク溶接機及び付属機器の取扱い作業
・被溶接材の開先加工、調整、タック溶接(仮付け溶接)作業
・鋼材の下向姿勢での溶接作業
・鋼材・管材の下記姿勢での溶接作業 (1~5のうち一つ以上を行う)
1.下向姿勢
2.立向姿勢
3.橫向姿勢
4.上向姿勢
5.水平及び鉛直固定管
□半自動溶接
・半自動アーク溶接機及び付属機器の取扱い作業
・被溶接材の開先加工、調整、タック溶接(仮付け溶接)作業
・鋼材の下向姿勢での溶接作業
・鋼材・管材の下記姿勢での溶接作業 (1~5のうち一つ以上を行う)
1.下向姿勢
2.立向姿勢
3.橫向姿勢
4.上向姿勢
5.水平及び鉛直固定管
(2)安全衛生業務
※技能実習1号と同じ内容
関連業務
・溶接作業(手溶接、半自動溶接)
・設計図書の読図作業
・破壊試験作業
・非破壊試験作業
・溶接準備作業及び溶接仕上げ作業
・ガス溶接作業(作業主任者免許、技能講習が必要)
・ガス溶断作業(作業主任者免許、技能講習が必要)
・スポット溶接作業
・ティグ溶接作業
・アルミニウム溶接作業
・揚重・運搬機械運転作業(各種機械に応じて特別教育、技能講習等が必要)
・玉掛け作業(特別教育又は技能講習が必要)
・高所作業車運転作業(特別教育又は技能講習が必要)
周辺業務
- 溶接製品の梱包・出荷作業
- 溶接製品の運送作業(加工場から現場)
- プラスチック溶接作業
- ろう付け作業
- スタッド溶接作業
- 溶接製品の錆(さび)止め作業
※厚生労働省「技能実習計画審査基準」
なお、外国人インターンシップ生の受け入れは、上記業務内容の条件を揃えていなくても受け入れが可能です。
また、受け入れコストについても技能実習生を受け入れるのに比べて半分以下にできます。もちろん、外国人インターンならではの難しい部分もありますが、溶接の業務内容に縛られない&コスト削減を達成するには、外国人インターンを活用することをおすすめいたします。
まとめ:溶接職種の技能実習生
技能実習生を受け入れるイメージは持っていただけたでしょうか?
日本の高いレベルの溶接技術を学ぶことは、ベトナム人の技術向上につながり、より多くのベトナム人たちが高品質な工業製品や建築物を作れるようになることに寄与することでしょう。
ぜひ溶接職種のベトナム人技能実習生の受け入れをご検討してみてはいかがでしょうか?
技能実習修了後、あるいは育成就労の終了後には、特定技能「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業」「造船・舶用工業」への移行も考えられます。特定技能2号も認められていることから、有望なベトナム人に働き続けてもらえる制度も整っています。
当協会では、特定技能、技能実習、エンジニア、インターン、ベトナム現地の教育機関との提携など、様々な形で人材に対する課題解決をおこなっています。
ベトナム人材について何かご質問があれば、ぜひお気軽にお問い合わせフォームよりご連絡いただければと思います。