【2024年版】外国人インターンの受け入れ方法
外国人のインターンの受け入れと聞いても、多くの方はあまりご存知ないかと思いますが、近年、日本で外国の学生をインターンとして受け入れる企業が増えてきています。
それまでインターンとして受け入れていた日本の若者が減少したことに加え、技能実習や特定技能で外国人の力を活用する企業が、外国人のインターンを新たな力として活用しているという背景があるため増加傾向にあるといえます。
こちらの記事では、外国の大学や短大の学生を自社でインターンとして雇用したい企業様に向けた内容となっています。
当記事はこちらの方におすすめです 🇯🇵🇻🇳
- 新たな外国人の活用方法を探している
- 技能実習や特定技能で外国人を受け入れることができない
- 外国人のインターンを活用して自社のOJT体制の強化をはかりたい
海外にいる外国人のインターンを受け入れるには、募集やビザ関係などの手続きをしていく必要がありますが、全体的な流れとしては次のとおりです。
- インターンシップの受入体制をつくる
- 雇用条件の決定
- 外国の大学とコンタクト
- インターンシップの実施計画を作成
- 募集依頼(求人依頼)
- 面接、合格者の決定
- 海外の大学との産学協定の締結
- 受入準備(外国人の住居のリサーチ等)
- 在留資格の申請書類を準備
- 在留資格の申請、交付
- 外国へ在留資格を送付
- 現地の日本国大使館or総領事館へビザ申請、ビザ交付
- 日本入国、インターンシップ開始
上記の全てを自社でやるのは厳しいので、日本の人材紹介会社や海外のインターン紹介会社に委託することになります。
インターンの受け入れ方法について以下でご紹介をしていきますが、まず、外国の学生のインターンシップとはどういった趣旨の制度なのかというところからご説明します。
外国人インターンシップとは?
出入国在留管理庁が出している外国人のインターンシップに関するガイドラインにおいて、基本的な考えとしては次のように述べられています。
インターンシップとは,一般的に,学生が在学中に企業等において自らの専攻及び将来のキャリアに関連した実習・研修的な就業体験を行うものであることから,インターンシップ生を受け入れる企業等においては,産学連携による人材育成の観点を見据えた広い見地からの対応が求められるとともに,適正な体制を整備した上で,インターンシップ生が所属する大学とも連携しながら,教育・訓練の目的や方法を明確化するなど,効果的なインターンシップ計画を立案することが重要です。
※外国の大学の学生が行うインターンシップ に係るガイドライン
外国人のインターンシップ制度の概要
基本的な考え方として、外国人材(外国の学生)が大学等で勉強している専門と日本の企業で従事する業務内容の関連性があり、実習を通じた当該人材の育成が主たる目的となっています。
このため、インターンとして来日して滞在するための在留資格は就労目的の種類のものではなく、在留資格「特定活動」が該当しています。
そしてガイドラインで言われているように、外国人のインターン生が単なる労働力確保人材でないことを十分に認識して受け入れることが受入企業に求められています。
その反面、受け入れる際に職種などは問われないことが特徴的です。技能実習生や特定技能を受け入れる場合は、受け入れることができる職種や産業分野が定められています。
インターンはどんな職種でも受け入れることができ、受け入れコストも技能実習生のものに比べて格段に低いという利点もあります。
なお、外国人をインターンシップとして受け入れるための要件、在留資格「特定活動」に関する詳細については下記のブログで紹介しています。
それでは、インターンを実際に受け入れるための手順を以下で見ていきましょう。
外国人インターンの受け入れ手順
インターンの受入体制をつくる
自社が外国人のインターンを受け入れるための体制をつくるといっても、何も特別なことをするわけではなく、次の3点を満たすことで体制をつくることができます。
- インターンシップ責任者を選任する
- インターンシップ指導員を選任する(インターンシップ責任者との兼任可)
- 外国の大学への評価報告書の作成と保存ができる体制をつくる
インターンシップ責任者を選任する
インターンを受け入れるための一連の業務を統括管理するインターンシップ責任者を選任します。
インターンの受入後は、受入企業の責任でインターン生の実習を適切に実施・修了できるようにします。
この点は、技能実習制度であれば監理団体があり、特定技能制度であれば登録支援機関があるのとは異なっています。
受入企業が単独で外国人の管理を行っていくという特徴があるため、今まで自社で外国人を受け入れた経験のない場合は慎重になった方が良いでしょう。
とはいえ、監理団体や登録支援機関の中には、外国人のインターンに対してサポートサービスを提供しているところもあります。
すでに監理団体や登録支援機関と取引をしていれば、一度確認してみましょう。
インターンシップ指導員を選任する
インターンシップ責任者の他にインターンシップ指導員を選任することも必要です。
ガイドラインには、
”インターンシップを行う事業所に所属する受入れ機関の常勤の役員又は職員であって、インターンシップ生が従事する業務について1年以上の経験を有するインターンシップ指導員(インターンシップ責任者との兼任可)を選任”と定められています。
インターンシップ指導員はインターンシップ責任者と兼任が可能ですが、指導員は現場でのインターン生の上司があたることになるケースが多いです。
一方、インターンシップ責任者は、インターンシップ生の受入前からの業務も担当することになるため、総務や人事などの管理部門が担当した方が適切といえます。
外国の大学への評価報告書の作成と保存ができる体制をつくる
受入企業は、外国の大学へインターンシップ実施状況や評価結果に関する報告書を作成することになります。
この時に作成した報告書を当該インターンシップの終了後一定期間(最低3年間)保存する必要があります。
このため、書類を作成・保存する体制を整えておきます。
雇用条件の決定
外国人のインターンを受け入れることが社内で決定したら、インターン生を雇用する条件を決めることになります。
雇用条件が決まらなければ、外国の大学等も学生がどんな雇用条件で日本で実習(インターン)をするのか分からないことから、話が先に進まなくなりがちです。
まずは雇用条件を定めることで、大学等に雇用条件という具体的な形を示せるようにしておきます。
どのような雇用条件であれば良いのかは分かりにくいので、ここからは人材会社を使いながら進めていくことをおすすめします。
外国の大学とコンタクト
雇用条件が決まったら、インターン生が従事する業務内容と合致する専門学部・学科を持つ外国の大学とコンタクトをとります。
通常、自社が外国の大学の情報に通じているケースというのは稀であることから、人材会社に適切な大学・短大を紹介してもらいます。
現地へ赴いて、外国の学校の責任者と会うと良いでしょう。どうしても時間が取れない場合は、オンラインで顔合わせをしておきましょう。
ただし、やはり実際に外国の学校を見たり学生達と交流してみるとインターン生となる人材がどういった感じなのかイメージがつくので、現地へ行って体験することが望ましいです。
インターンシップの実施計画を作成
外国の学校側と協議しながら、インターンシップ実施計画を作成します。
協議といっても学校側も時間を取りにくかったり、通訳も必要になったりするので、人材会社を通じて実施計画を作成することになります。
インターンシップの実施計画を作成するにあたってポイントとなるのは、
- 活動の目標、内容、期間並びに大学における履修科目及び単位との関連性等を明確にすること
- インターンシップ責任者及びインターンシップ指導員を適切に配置すること
- 各業務ごとの理解度及び習熟度を確認する時期、評価項目、評価方法及び評価担当者(インターンシップ責任者等との兼任可)を明確にすること
- 技能実習生を受け入れている企業については、上記3点に関して技能実習生との違いを明らかにすること
以上の4点があります。
インターンシップ実施計画の作成も人材会社がサポートしてくれることもあるので、分からないことは人材会社にどんどん質問してみてください。
募集依頼(求人依頼)
日本国内で求人するのと同様に雇用条件を元に募集依頼(求人依頼)行います。
雇用期間(インターンシップ期間)、報酬、業務内容、勤務時間、休日、休憩、控除額などを示して募集活動の実施をエージェントに依頼します。
控除額については、まだインターン生の住居を手配していない段階かと思いますので、おおよその額を示すことになります。
(前提として、外国のインターン生の住居は受入企業で手配します。)
業務内容の他、インターンシップ期間を通してどのような流れで実習を行っていくのかも示しておいた方が学生達の理解も進みます。
インターンシップ実施計画の内容も開示して募集を活性化させましょう。
インターン生に対して日本語レベルやPCスキルなどを求める場合は、応募条件としてそれらを付けておきます。
また、自社の業務内容上、人によっては何らかのアレルギー反応を起こす可能性がある場合、応募条件に「◯◯にアレルギー無い方」と明記しておきましょう。
募集に関わることはしっかりと書面にして人材会社に依頼し、応募者を集めるのにはどのくらいの期間が必要になるかも併せて確認しておきましょう。
募集活動を全てエージェントに依頼する方法もありますが、他方、自社で会社説明会を開いて学生達に直接自社の理念や事業、業務内容の詳細、インターン生に求めていることなどを話すことも可能です。
※依頼の具体的方法は「外国人のインターン生の募集をしたい|依頼の仕方をわかりやすく説明」へ
面接、合格者の決定
募集活動の結果、インターンシップの希望者が集まったら面接を行います。
自社が望む人材を選抜し、合否を決定することになります。
面接の前に合格基準や求める人材像を明確にしておかないと、面接の後になかなか合格者を決定できないケースがあります。
このため、候補者に対してどんな質問をして、どんな面接会にしたいかをある程度決めておきましょう。
外国の大学との産学協定の締結
外国のインターンを受け入れるためには産学協定の締結が必須です。
人材会社と調整しながら締結完了をします。
産業協定で盛り込む内容としては、学校や受入企業の責任範囲、インターン生となるべき者の条件、受入企業が負担する費用、インターン生が負担する費用、学校と受入企業双方の窓口などを取り決めます。
受入準備(外国人の住居のリサーチ等)
外国人のインターン生が日本で住む場所の提供は、受入企業がやることになります。
会社の空いている寮があれば良いですが、寮がない場合や寮の部屋が空いていない場合は、外部で部屋を借りることになります。
業務を行う場所まで通える距離にある部屋があれば幸いですが、無い場合は頭を悩ますことになります。
インターンを受け入れるかどうかの検討段階で、物件の事情は大丈夫か確認して検討をするべきといえます。
この他、布団や最低限の什器を準備して、来日後に生活のことで躓かないようにしてあげましょう。
在留資格の申請書類を準備
在留資格認定証明書やビザ(査証)に関しては、行政書士に委託するのが適切です。
もちろん、そこまで専門的な申請内容となっていないため自社でまかなうこともできます。
しかし、申請書類に不備があったためやり直しになってしまうと、インターンシップの開始時期が遅れてしまう可能性もあります。
したがって、初めての申請であったり、自社で申請することに不安を感じるのであれば迷わず行政書士に委託すると良いでしょう。
申請書類は主に下記の通りですが、出入国在留管理庁の判断で追加書類を求められることもあります。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 証明写真(4×3cm、直近3ヶ月以内)
- 大学・短大の在学証明書
- 産学協定書
- インターンシップの雇用条件を証明するもの(雇用条件書等)
- インターンシップ実施計画書
- 外国の大学・短大が作成:インターンシップ承認書(推薦状)
- 外国の大学・短大が作成:インターンシップを単位取得認定の対象とすることを証明する文書
在留資格の申請、交付
在留資格認定証明書の申請書類を準備できたら、出入国在留管理庁へ書類を提出して申請します。
現在は審査期間は45日間ほどかかっています。審査期間を計算し、インターン生の入国予定日から逆算して、余裕をもって書類準備と在留資格の申請をするよう心がけましょう。
※審査期間について目安はこちらのサイトで確認できます。
外国へ在留資格を送付(ベトナム人のケース)
日本で受け取った在留資格認定証明書をベトナムへ送付します。
確実に送付できるよう配達証明や追跡できる郵送サービスを利用します。
日本国大使館or総領事館へビザ申請、ビザ交付(ベトナム人のケース)
ベトナム側に在留資格認定証明書が届いたら、現地エージェントが現地の日本国大使館or総領事館へビザ申請をします。
大使館か領事館のどちらに申請するかは、現地エージェントの事務所の所在地やインターン湿布生の住所地によって変わってきます。
ビザ申請書類に不備がなければ、ビザ交付は申請日から約10日間で交付されます。
日本入国、インターンシップ開始
インターン生は、通常、航空機で日本に入国しますので、到着する空港へ出迎えに行きます。
空港から会社の事務所またはインターン生が居住する部屋に送迎することになります。
この際の送迎費用も受入企業が基本的に負担することになります。
インターンシップの開始後は、受入企業の責任でインターンシップを計画に沿って実施できるように管理していきます。
同時にインターン生の評価を行い、外国の大学にその情報を共有していきます。
インターンシップ開始後に不明点があれば、アドバイスを人材会社に求めることができるかどうかは重要なポイントです。
この点も人材会社との契約前に確認しておくとよいです。
注意事項
これまで外国人のインターンシップを受け入れるための手順を見てきましたが、最後に注意事項を述べておきます。
受入上限人数
ガイドラインは外国人のインターンシップの受入上限人数について、以下のように定めています。
受入れ機関において「第1号技能実習生」を受け入れている場合(インターンシップ期間中に受け入れる予定がある場合を含む。)で、インターンシップ生の受入れ人数(インターンシップ期間中の受入れ予定数を含む。以下同じ。)と「第1号技能実習生」の合計が「第1号技能実習生」の受入れ人数枠を超えるときは、技能実習制度の適切な実施を阻害することのないよう、また、充実したインターンシップ活動が行われるよう、インターンシップ生についての指導体制やカリキュラムが構築されていることを明らかにしている必要があります。
つまり、技能実習生を受け入れている企業は、すでに在籍している第1号技能実習生の人数を受入上限人数から差し引いた人数が、外国人インターン生を受け入れられる基本的な人数であるということです。
★インターンシップ受入上限数(基本) = 1号技能実習生の上限人数 − 自社在籍中の1号技能実習生の人数
第1号技能実習生の受入上限人数
実習実施者の常勤職員総数(在籍技能実習生を含まない) | 基本人数枠(技能実習生1号の受け入れ人数) | 優良企業(優良基準適合者) |
301人以上 | 常勤職員総数の1/20 | 基本人数枠 の2倍 |
201から300人以下 | 15人 | 基本人数枠 の2倍 |
101から200人以下 | 10人 | 基本人数枠 の2倍 |
51から100人以下 | 6人 | 基本人数枠 の2倍 |
41から50人以下 | 5人 | 基本人数枠 の2倍 |
31から40人以下 | 4人 | 基本人数枠 の2倍 |
30人以下 | 3人 | 基本人数枠 の2倍 |
夜勤、シフト制
インターン生が夜勤やシフト制で従事する場合は、その必要性及び指導体制について明確にする必要があります。
インターンシップ期間
外国人のインターンシップの期間は最長1年となっています。
インターン生は大学・短大の卒業をしなければならないためインターンシップ期間満了とともに帰国します。
まとめ
まだ日本の企業では外国人のインターンを受け入れることは広く知られていませんが、宿泊分野などでは活用事例が見られるようになってきました。
インターンシップの後に外国人材が母国の学校を卒業したら、次は技術・人文知識・国際業務の人材として受け入れたり、特定技能として受け入れるといったこともできます。
まずインターン生として外国人材を受け入れてみて、人材が自社の社風や業務内容にマッチングしているかどうか判断し、インターン生を正社員として採用したいと思ったらオファーをかけてみるのも人材確保の手段として有用かと思います。
一方、外国人材の立場としても、自分がインターン生として実習を行う中で、その企業でやっていけるか、あるいは正社員として本当に雇用されたいと実感できるかの機会を得ることができます。
外国人のインターンシップは労働力確保が目的のものではありませんが、組み合わせて運用することで、人材マッチングがしやすくなります。
ぜひ貴社でも新たな外国人の活用方法としてご検討してみてはいかがでしょうか?
弊社では特定技能・技能実習・エンジニア・インターン・ベトナム現地の教育機関との提携など、様々な形で人材に対する課題解決をおこなっています。
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